もともと長岡まつりは長岡空襲による戦災殉難者の鎮魂のための行事でしたが、現在の長岡花火の目玉となっている『フェニックス』には7.13水害や中越地震、そして豪雪被害からの復興への祈りが込められており、今回新たに東日本大震災からの復興祈願という意味づけがなされました。
今回の最大の目的は、もちろん『フェニックス』を鑑賞する事です。
【雨ニモ負ケズ】
実は先月末、新潟県は集中豪雨に見舞われ、急激な河川の増水により各地の堤防が決壊しました。花火会場の付近でも交通規制が布かれ、橋の往来も一時的に不可能となったほどです。
観覧席は川底に沈み、大会の開催も危ぶまれましたが、実行委員会による懸命の突貫工事によって奇跡的に復旧を果たし、無事、当初の予定通り開催される事となりました。
そして迎えた花火大会2日目。
その日は糸井重里さんも花火観覧のために長岡入りされていました。
新潟人(にいがたびと)は、新潟が大好きです。その新潟人大結集の長岡に、これから馳せ参じます。犬は、長岡には来ません。新潟で留守番です。
一方、早々に現地入りした僕たちも、『フェニックス』を鑑賞するために信濃川右岸(川東)にある無料自由席の一等地に陣を張る事に。
『雷雲が会場に近づいている』という場内アナウンスが気に掛かりましたが、ひとまず観覧中に喫食できるよう、食料の買出しへ。
しかし、スーパーへと向かう道すがらにぽつりぽつりと見られた雨雫の滴りは、まもなく豪雨となって再び会場を襲いました。
弱まることを知らぬ雨脚に会場は猖獗を極め、あまつさえ轟く雷鳴によって事態は悪化するばかり。挙句の果てに、シャツの胸ポケットに入れておいた iPhone のタッチパネルが、雨水に濡れた乳首の先っぽに接触した事によって奇跡的に反応し、実家の親に電話が掛かる始末。
あまりにも惨憺たる状況に、観覧を諦めてやむなく会場を立ち退く観客も見受けられましたが、僕たちは急遽購入したビニール傘に身を潜め、ただひたすら雨が上がるのを待ちました。
屋内退避!雨がやばいっ
辛抱の甲斐もあって、1時間ほどで空には虹が架かり、雨は打ち止め。
結果的にはこの直前の豪雨が曇天を切り開き、夜空を明澄に整え、図らずも花火の映えるベストコンディションとなったそうで。
レジャーシートに溜まった雨水を払い、泥土を拭い、なんとか人が座れる状態に整えました。
【煌翼の不死鳥】
僕たちがいた場所は、有料観覧席の至近に位置する特等の自由席。ゆえに、怒涛の大迫力で夏の風物詩を賞翫できました。
たとえばツインベスビアス大スターマイン『ラブラブファイヤー』では、男女に見立てた一対の特大スターマインが目の前で舞い散り、『天地人花火』は視界に入りきらぬほど縦横無尽に大輪の花火が繚乱。圧倒的な光景をただただ呆然と眺めるばかりでした。
繰り出される花火はどれも華美なるものなれど、やはり白眉は『フェニックス』。
ご存知ない方のために、2010版の大変秀逸な映像作品をひとつご紹介したいと思います。
翼を広げた不死鳥が漆黒の夜空に陸離たる光芒を放つさまは荘厳にして絢爛。さながら流星の如く儚げにも見えるが、何度でも蘇り、大空を翔ぶ……。
会場には、迫力に満ちた音と光の原始的刺激に酔いトランス状態となる者あり、感極まって涙する者あり。絶叫とも歓声ともつかぬ喝采によって、会場は不思議な一体感に包まれていきます。
やがて闇夜の先へと飛び去っていく不死鳥の群れを見送り、『フェニックス』は幕を閉じるのです。
【光が夜空へ帰るとき】
長岡花火は単なるファンタジーではなく、残酷な現実と地続きになっています。
ですが、忙しい日々の中でいつの間にか忘れてしまっている『感動』を、ふたたび思い出すかけがえのないきっかけでもあります。
不死鳥の飛び去った空には、間もなく夜明けが訪れるでしょう。
……と、美しくまとめたいところでしたが、その日はレジャーシートをぬかるみの上に無理やり敷いたため、お持ち帰りと後始末が本当に大変でした。雨のばかばか!
たーせるさん、こんにちはヽ( ・∀・)ノ
返信削除31日に引き続き、花火のときもお世話になりました。ありがとうございます!
…レジャーシート、ぜひ、また使う機会を作りましょう!
また、一緒に感動したいです(´∀`)
コメントありがとうございます。
返信削除使用したレジャーシートはきれいになり、今は結束機で小さく丸められて次の出番を待っています。
今度はいつになるでしょうか。楽しみです。